健康的な食生活に一役
株式会社 プラス 代表取締役中畑 弥子氏
独自の「スーパー玄米」を使ったパンで高い栄養価とおいしさを両立。
店舗販売と卸事業の両輪で、さらなる発展を目指します。
玄米パンのイメージを一新
直営店のベーカリー「玄米赤飯° 井上家」でパンの製造販売を行うとともに、スーパーマーケットなどにパンや玄米を卸しています。当社のパンは玄米と小豆で赤飯を炊き、小麦をブレンドした生地で焼き上げるオリジナル製法で、それを表現するために「玄米赤飯°」(=げんまいせきぱん)と名付けました。玄米というと「健康には良いけれど硬くて食べにくい」という印象があるかも知れませんが、当社が使う玄米は特許を取得した「スーパー玄米」。特殊な製法でやわらかく仕上げるため、「玄米赤飯°」はふわふわでもちもちの食感の上、玄米特有の苦みもありません。
店頭に並ぶ食パンや菓子パン、調理パンに至るまで生地はすべて「玄米赤飯°」で焼き上げます。健康志向の高まりにつれて、玄米に関心を持つお客様も多く、遠方からご来店くださる方も増えてうれしい限りです。
父が開発した「スーパー玄米」を主役に
実は「スーパー玄米」は、和歌山で加工玄米の事業を営む私の父が開発したものです。米屋だった父は玄米の優れた栄養価に注目し、独自で研究を重ね、超高水圧加工による玄米を生み出しました。そして米飯よりも気軽に食べやすいパンに着目。父の会社で働いていた私は、玄米パンを扱うベーカリー工房に修業に行き、パンの製造を習いました。
その後、父はパン事業を撤退するのですが、私は父が人生をかけた「スーパー玄米」を使ったパンを諦め切れず、父からパン製造のノウハウを受け継いで独立。2021年5月に「玄米赤飯° 井上家」をオープンさせました。私はオーナーとして経営と営業を担い、店長にはホテルのレストランで調理経験のある私の妹が着任。さらに経理面は私の夫にアドバイスをもらいながら、パートの方々を加えて店をやりくりしています。ベーカリーの業務は息つく間もない状態で、私も早朝から「玄米赤飯°」を仕込み、製造を手掛け、接客に励む日々です。
手間ひま惜しまないパン作りの現場
「玄米赤飯°」は、北海道産小豆を「スーパー玄米」で炊き上げ、小麦を加えて生地にします。その工程で素材の配合や、焼成の温度や時間、オーブンの選び方に至るまで、レシピ作りは試行錯誤の連続でした。玄米に含まれる水分が焼成後も出てくるため、きちんと調整しないと夏場はカビの原因にもなります。その絶妙の「加減」をマスターするまで大変でしたね。
スーパーマーケットに卸しているパンは、毎朝焼き上げ、午後には集配センターに車で届けています。妹と交替で早朝からパンを仕込むのですが、赤飯を炊く分だけ、普通のパンより手間ひまがかかるんですよ。パートの方にも早朝出勤をお願いして、何とか乗り切っています。
目指すは売上アップ!
悩みのタネは人件費をはじめとする経費の節約です。原材料費が高騰する中でも、価格や品質はできる限りキープしたいですから。夫からは「経費の使い過ぎ」と叱られますが、良い商品のためにはお金も手間もかかるんです。
その分売上アップに意欲を燃やしています。クーポン付きのビラを配布したり、フェイスブックやインスタなどのSNSもフルに活用しています。SNSの効果は想像以上ですよ。南大阪から来店してくださったお客様もいます。そしてテレビや情報誌などで取り上げていただくと、すぐに反響がありますね。取材で知り合った方が別のメディアを紹介してくださるなど、人のつながりに助けられています。これからも積極的に情報を発信していきたいですね。
将来はチェーン化を夢見て
いつかは「玄米赤飯° ○○家」として、オーナーや店長の名前を入れてチェーン化するのを夢見ています。父や私たち姉妹の願いである「玄米食の普及」を、各店のオーナーたちとともに叶えられるといいですね。 そして私自身は、もっと人脈を広げていきたい。人とのつながりを大切に、経営者として成長したいですね。